夏季大会の格闘技で、柔道の他にレスリングがあります。レスリングは最初は男子のみの競技になっていました。ですから古い時代をさかのぼりますと、1924年パリ大会で、内藤克俊さんが日本人のレスリング大会初代メダリストです。

ちなみに取ったメダルは銅メダルでした。金メダルに輝いた初の日本人は、1956年メルボルン大会の池田三男さんでした。その後もレスリング男子のメダルラッシュは続きます。

特に1976年モントリオール大会、1984年ロサンゼルス大会では沢山の日本人男子がレスリングで金、銀、銅を取っています。

レスリングは男子だけの競技とイメージされがちでしたが、2004年アテネ大会より女子も正式種目として扱われるようになりました。

この頃から女子レスリングも男子に引けを取らない強さを発揮し、多くのメダリストが誕生しました。

特に女子レスリングで目立っていたのは、伊調千春さん、伊調馨さん、吉田沙保里さん、浜口京子さんの4人です。この4人の皆さん、2004年アテネ大会、2008年ロンドン大会では連続してメダルを取っている超実力者たちです。

特に伊調さん姉妹は揃ってオリンピックに出て、2人ともメダルを取るなんてなかなか出来ることではありません。それに2人とも同じ大学(志学館)を卒業しています。

姉妹だと何かと比べられることが多いのですが、でも伊調さんはそんなことは全然気にしてなかったかのように見えました。志学館大学は、レスリングに力を入れており、伊調さん姉妹、吉田さんをオリンピックに送りだしている素晴らしい大学です。

浜口京子さんは、父が元プロレスラーのアニマル浜口さんの娘で、最初は父の影響もあってか、女子プロレスラーを目指していました。ですが父の経営するレスリング教室でトレーニングを積んでいくうちに、中学時代にレスリングを始めるようになりました。

彼女は力を付けて行きながら、全日本選手権、世界選手権に出場して見事に優勝し、2004年アテネ大会に参加することが出来、初出場ながらも、銅メダルを取りました。2008年北京大会でも引き続き銅メダルを獲得した実力者です。

吉田沙保里さんも、伊調さん姉妹と同じ志學館大学の卒業者であり、父は元レスリング選手の吉田栄勝さんです。栄勝さんは2012年ロンドン大会で、女子レスリングのコーチを担当していました。

いくら沙保里さんが娘であっても、オリンピックの選手に選ばれたからには、親子関係じゃなく、選手とコーチの間がらになっていたんでしょうね。

吉田さんはアテネ大会、北京大会、ロンドン大会の3回連続で金メダルを獲得した功績が大いに評価されて、「国民栄誉賞」を受賞しました。2012年リオデジャネイロ大会では、惜しくも金メダルを逃しましたが、2020年の東京大会を目指して、現役を続けています。

吉田さんは、現役をする傍ら女子レスリングのコーチもしています。

伊調さん姉妹の現在はどうかといいますと、姉の千春さんはすでに引退をして、生まれ故郷の青森の高校で保健体育の先生をしています。

妹の馨さんも吉田さんと同じく「国民栄誉賞」を受賞し、現役を続けています。

本当に女子レスリングは、注目を浴びる選手たちばかりで盛り上がりました。伊調さん姉妹、吉田さん、浜口さんの後輩にあたる選手の人達も2016年リオデジャネイロ大会で見事に金メダルを獲得しています。

今後も女子レスリングの選手たちの活躍が気になる所です。今度の2020年東京大会ではどんな活躍を見せてくれるのか、楽しみです。